はじめに
「もっとこうすべきだ!」 「なんでこんなやり方なんですか?」
会議室やチャットでそんな声を聞くたびに、私も何度ため息をついたか分かりません。そして、時には「こんなに頑張っているのに」と感じて、怒りがこみ上げてくることもありました。
中堅社員からの「突き上げ」。その背景には、彼らが成長途中に感じる焦りや、自分なりの正義感があるのかもしれません。でも、管理職としては、その未熟な意見が「無責任な理想論」に見えることもありますよね。
この記事では、そんな管理職の気持ちを代弁しつつ、この状況をどう乗り越えればいいのか考えてみたいと思います。
未熟な突き上げ――その「正しさ」は誰のため?
まず考えたいのは、部下たちが掲げる「正しさ」は本当に組織全体のためになっているかどうか、ということです。例えば、かつてある部下が「もっと柔軟な働き方を導入すべきだ」と提案してきました。しかし、その提案を実現するためにはシステム変更や人事体制の見直しが必要で、彼はその影響が組織全体にどう広がるかを理解していなかったのです。このとき、私は実行の難しさを伝えながらも、どうすれば可能か一緒に考えるようにしました。
中堅社員は、自分の力と責任感にズレを感じやすい時期です。理想を掲げるものの、それを実現するためのリスクや全体のバランスを理解しきれていないことが多いです。
例えば、彼らが提案する改善案が「実行可能かどうか」を判断するのは誰でしょうか?それは管理職であるあなたです。そして、時には組織全体のバランスを取るために、彼らの意見を却下しなければならないのもあなたなのです。
「正しさ」だけを追求するのは簡単です。でも、組織が求めているのは“誠実さ”です。つまり、成果を出しながらも、みんなが納得できる形で問題に取り組むことです。
管理職の憤り――「責任の重さを知らない声」は軽い
「文句を言うのは簡単だけど、それを背負う覚悟はあるのか?」
管理職として、こう感じるのは当然かもしれません。責任の重さを知らないまま声を上げる部下に対して、時に苛立ちを感じることもあります。
特に中堅社員は「変化を起こしたい」という情熱を持ちながら、その裏で必要な労力や調整を軽く見がちです。私も、彼らの提案が理想論に終わり、最終的には私自身がその後始末をしなければならなかった経験が何度もあります。例えば、以前に新しいプロジェクト管理ツールを導入する提案がありましたが、彼らはその切り替えに必要なトレーニングや既存システムとの調整を軽視していました。結果として、混乱が生じ、最終的には管理職であるあなたがその後処理をすることになったのです。そんな経験をした管理職も少なくないでしょう。
この状況をどう乗り越えるか?
管理職として大切なのは、ただ怒りを感じるのではなく、部下の声を「価値ある意見」に変える方法を見つけることです。例えば、以前ある部下が「もっとお客様とのコミュニケーションを改善するべきだ」と提案してきました。その時、私は彼に「じゃあ、具体的にはどうすればいい?」と問いかけ、彼と一緒に行動計画を練りました。最終的には、それがチーム全体での顧客満足度向上の取り組みに繋がり、皆で成果を実感することができました。このように、部下のアイデアを引き出して実現可能な形にすることで、意見が価値ある成果に変わるのです。そのためのいくつかのポイントを紹介します。
1. 「なぜ」を問い直す対話をする
突き上げられた時に、ただ反論するのではなく、「なぜその意見が必要なのか」を部下に問いかけましょう。例えば、「その提案が具体的にどんな問題を解決するのか?」や「そのアイデアを実現するにはどんなリソースが必要なのか?」といった具体的な質問をすることで、彼ら自身が自分の考えをもう一度見直すきっかけになります。
2. 感情ではなく事実で議論する
感情的に反応してしまうと、議論は平行線になります。代わりに、「提案の背景」や「実現可能性」を一緒に考える姿勢を見せましょう。
3. 責任をシェアする仕組みを作る
部下の提案を採用する際には、「その責任も一部持たせる」ことを徹底しましょう。「言うだけで終わらせない」姿勢を示すことで、部下も真剣に考えるようになります。
終わりに――管理職は孤独であっていい
管理職の役割は、組織を前に進めるために重い責任を持つことです。それは時に孤独で、時に理解されないこともあります。私も何度も「誰も分かってくれない」と感じたことがあります。しかし、それには大きなやりがいもあるのです。例えば、困難なプロジェクトをリードして、最初は反対や不満ばかりでしたが、最後にプロジェクトが成功し、チーム全員が笑顔になったとき、その達成感は本当に大きなものでした。このようなやりがいが、管理職としての役割の本質です。
「船を進めるには、舵を握る人が必要だ」
管理職であるあなたがその舵を握り続ける限り、組織は前進し続けます。たとえ未熟な突き上げに疲れることがあっても、それを成長の糧に変える力があなたにはあります。
共に進みましょう!
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